若ハゲを本格的に治療するのであれば、病院やクリニックを受診してお医者さんに診てもらうのが最終手段でしょう。
皮膚科や薄毛外来のある病院では主に若ハゲの治療薬として代表的なプロペシアを処方しています。
専門のAGAクリニックではプロペシア以外にもミノキシジル(外用薬、内服薬)やザガーロといった治療薬の他、頭皮に注射を施す治療や植毛といった専門的な治療を受けることもできます。
現代医療の力で若ハゲを改善することができますが、問題は治療費が高額になるという点です。
若ハゲに限らず、AGA治療は長期が基本ですので、金銭面や体への影響(薬の副作用など)を考慮し、無理なく継続できる方法を選ぶことが大切です。
ここでは医療機関で受けられる若ハゲ(AGA:男性型脱毛症)の治療をそれぞれ紹介していきます。
若ハゲの治療はどこで受けられる?

若ハゲは比較的早い段階で発症したAGA(男性型脱毛症)を指す言葉ですので、治療など基本的な事はAGAと同じです。
AGA治療と言えばまず思い浮かべるのは、さかんに広告を出しているAGAクリニックや美容外科でしょう。
高額の費用をかけて広告をバンバン出しているクリニックほど、高額な治療費でバンバン儲けを出していると考えて差し支えないでしょう。
専門クリニックはアクセスの良い都市部の駅前に店舗をかまえ、プライベートを考慮した作りになっていてとにかく門を叩きやすく見えるのが特徴です。
薄毛治療が受けられるのはクリニックだけではありません。
皮膚科では薄毛治療も行っており、きちんと薄毛外来を設けている病院もあります。
専門の外来がない病院では簡単な問診で薬の使用に問題があるかどうかを確認し、プロペシアを処方するという簡易的な内容になりますが、費用は最低限の診察費と薬代だけで済みます。
投薬療法

若ハゲ治療でまず行われるのは、プロペシアやミノキシジルといったAGA治療薬の処方です。これらの治療薬は、日本皮膚科学会が定めた「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において、最も推奨(推奨度A:行うよう強く勧める)されている治療法です。
病院での診断は主に視診のみであり、患部の様子をみて進行度を確認し、治療薬が適切かどうかを判断した後に処方という流れになります。
AGAの進行度はハミルトン・ノーウッド分類と呼ばれる基準で7段階に測定され、このうちAGA治療薬が有効とされているのは軽度~中等度(分類においてレベル2~5)であり、重度(レベル6~7)にまで進行した薄毛に対しては効果がないため処方されません。
内服薬として、代表的なAGA治療薬であるプロペシア(フィナステリド)が最も多く処方されます。
必要に応じてより強力なザガーロに切り替えたり、ミノキシジルの外用薬や内服薬が一緒に処方されます。ミノキシジルの内服薬は日本で認可されていないため、病院では処方されていません。ミノキシジルの内服薬を取り扱っているのは専門のクリニックのみであり、独自で開発した治療薬としてミノキシジルを処方しています。
プロペシアやザガーロは主に抜け毛の増加を食い止める薬であり、発毛そのものを促す効果はありません。発毛剤として認められているのはミノキシジルのみですので、プロペシアやもしくはザガーロの単剤、もしくはミノキシジルと組み合わせるというのが基本です。
専門医がいない病院では基本的に視診と薬の処方のみですが、専門のクリニックでは若ハゲの症状に応じて、生活習慣やメンタルケアなどのアドバイスを受けることができます。
病院での治療費はプロペシアのみであれば月額7,000~9,000円ほど、ザガーロのみであれば9,000~12,000円ほどです。ミノキシジルを加えるとそれぞれに6,000~8,000円ほどプラスされます。
クリニックではさらにサプリメントの処方や遺伝子検査なども行っているので、トータルで月額20,000~35,000円ほどかかります。これはあくまで薬やサプリメントの処方による治療ですので、他の治療方法になるとさらに値段が上がってきます。
LED光治療
出典:頭髪新時代到来?LEDを使った薄毛・抜け毛対策最新グッズの解説と紹介 – 髪コト - 髪とイイコト -
LED(発光ダイオード)を頭皮にあてて育毛・発毛を促す治療方法です。LEDライトは熱を伴わず、レーザーのような痛みはありません。
LEDライトを定期的に照射し続けることによりって毛根にある毛乳頭細胞が活性化し、コラーゲンやヒアルロン酸の生成増加、細胞増殖の亢進といった効果が期待できます。
LEDによる光治療は日本皮膚科学会が定めた「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において、AGA治療薬の次に推奨(推奨ランクB、行うよう勧める)されています。
光治療は頭皮に優しく、安全性の高い治療法として、近年で注目が高まっています。AGA治療薬と併用することもできますので、既に投薬治療を行っている人でも効き目をさらに高めたい時には有効な手段と言えます。
LED光治療はクリニックに通院して数回にわたって施術を受ける手段と、機器を購入する手段があります。前者であれば費用は1回5,000円で12回50,000円、後者であれば機器の値段は5~25万ほどです。
成長因子や細胞の注入
出典:薄毛・発毛・育毛・毛髪HARG(ハーグ)治療 | ハニークリニック | 熊本の美容外科、エイジングケア・アートメイク・脱毛・薄毛治療
髪の成長を促す成分を頭皮に直接注射するタイプの治療方法です。大きく分けてAGAメソセラピーとHARG療法があります。
成長因子や細胞の注入は日本皮膚科学会が定めた「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において、推奨ランクはC2(行わないほうがよい)に分類されています。
AGAメソセラピー
AGAメソセラピーは成長因子(GF:グロースファクター)と呼ばれるタンパク質やビタミンなどの栄養素を配合した薬液を注射する毛髪再生療法です。成長因子は多くの種類があり、使用する成長因子や配合量などはクリニックによって異なります。毛根が弱っている患部に直接成長因子や栄養素を注入するので、治療薬よりも効率的に育毛・発毛を促進する効果が期待できます。
注射だとかなりの痛みを伴うため、針を使わずに注入するノーニードルメソセラピーを行っているクリニックもあります。
価格もまちまちであり、1回20,000~50,000円ぐらいで数回に渡って行う場合が多いです。
HARG療法
HARG療法はヒトの体を形成留守脂肪幹細胞から抽出した150種類の成長因子を冷凍乾燥させたパウダー(AAPEパウダー)を溶解させ、各種栄養素を配合させた薬液(HARGカクテル)を注入する毛髪再生療法です。
AGAメソセラピーと違い、HARG療法で使用するHARGカクテルは使用する成分や配合量など全て一律で定められています。
注入されたHARGカクテルによって、ヘアサイクルが乱れた毛髪は細胞が活性化し、力強い成長を取り戻すことができます。
費用はAGAメソセラピーよりも高額になり、1回8万円、6回コースで35~40万円となります。
植毛、増毛
出典:植毛 | 【公式】薄毛・抜け毛治療ならAGAスキンクリニック
主にAGA治療薬での改善が困難であると判断された場合の選択肢として、植毛や増毛、かつらといった最終手段があります。
植毛
植毛には自毛植毛と人工毛植毛の2種類があります。手術によって毛髪(頭皮)1本1本を埋め込むという大がかりな治療となり、費用も最も高額になります。
自毛植毛
自毛植毛は後頭部の健全な髪の毛を周囲の皮膚組織ごと採取し、薄毛の部位に移植手術を施す方法です。
採取した組織のひとまとまりは「グラフト」もしくは「株」と呼ばれ、増毛を行う範囲の単位としてカウントされます。
グラフトの採取方法は2つあり、毛根および周囲の皮膚組織をパンチブレードで一つ一つ採取する方法と、後頭部の頭皮を帯状(約10cm~20cm)に薄く切り取ってそこから健康な毛根を採取する方法があります。
移植手術の流れとしてはまずグラフトを採取し、薄毛部位にグラフトを埋め込む穴を空け、そこへグラフトを移植という順に行われます。
自分の頭皮をそのまま移植するので拒絶反応が少なく、副作用が起こりにくいのがメリットです。手術してから髪の毛が生えてくるまで時間がかかりますが、定着してくれば自毛が復活します。ごく自然に生えてくるので、メンテナンスを行う必要もありません。
費用は植毛をする範囲(株数)にもよりますが、相場としては50~150万円ぐらいです。
人工毛植毛
人工毛植毛は、ナイロンやポリエステル等の繊維で作られた人工の髪の毛を、植毛針という特殊な針で患部に埋め込む手術です。
既に用意された人工毛を埋め込むので、発毛を待つ必要がなくその日のうちに見た目の良い毛髪が生え揃うのがメリットです。
一方で頭皮に異物を埋め込むことになりますので定着せず、メンテナンスを定期的に行わなければなりません。また、頭皮の炎症や細菌感染などの副作用が起こりやすくなります。人工毛は経年劣化するため、いつまでも見た目をキープできるわけではありません。
費用は植毛をする範囲(株数)にもよりますが、相場としては25~100万円ぐらいです。
増毛
増毛は、薄くなっている箇所の髪に人工毛を数本むすびつけたり、特殊なシートを使って頭皮に人工毛を貼り付けたりする手段です。
植毛のように失敗するリスクはなく、すぐに理想の髪型を手に入れられる一方で、髪型を変えたり髪を染めたりすることはできなくなります。
費用の相場としては、年間およそ25~60万ぐらいです。
増毛は主に3つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なってきます。
編み込み式
生えている自毛に特殊な糸を編み込んで増毛のための土台を作り、ウィッグ(かつら)を土台に接着させる方法です。つまりかつらを完全にくっつけてしまう方法ですので、24時間取り外す必要のないかつらと言えます。
接着方法は糸を編み込むだけですので頭皮や頭髪に優しく、かつらように風の強い日や激しい運動でズレるといった心配もありません。
デメリットは頭皮がムレやすくなり、頭皮トラブルが起こりやすくなります。
結毛式
生えている自毛の根本に、手作業で人工毛を結びつける方法です。
1本1本結びつける方法と、数本単位の束を結びつける方法があります。1本の自毛に対して、2~6本の人工毛を結びつける事が可能です。
結毛式のメリットは他の増毛法に比べ、仕上がりが自然で増毛っぽさを感じさせない点です。ムラができにくく、髪のボリュームアップも無理なく行えます。
通気性もよく頭皮環境の健康を維持できるので、人気がある増毛法です。
デメリットは定期的なメンテナンスが必要になる点です。
自毛が伸びるのに合わせて、人工毛も一緒に調整しなければなりませんので、月1回はメンテナンスを行わなければなりません。
シート式
あらかじめ人工毛を植えてある特殊なシートを、薄毛部位に貼り付ける方法です。
透明で見えにくい極薄のシートですので、見た目はほどんど目立ちません。接着剤で貼り付けますのでしっかりと固定されますが、専用のリムーバーなどで取り外すこともできます。
シートにはいくつかのタイプがありますが、網目状のものは通気性・粘着性とも優れており、シャンプーや激しい運動にも耐えられる安定感があります。
シート式のメリットは他に増毛法では対処できない無毛部分にも貼り付け可能という点があります。髪の量を選べますのでボリュームのコントロールも簡単で、ある程度は理想の髪型に近づける事もできます。
デメリットは肌の弱い場合にシートに対して頭皮が違和感を覚えたり、汗をかいた際にムレて痒みが起こりやすくなる等があります。
若ハゲ治療その5、治療薬の個人輸入

最後に紹介する治療法は、医療機関で推奨されていない方法になりますが、AGA治療薬を自分で個人輸入する手段です。
薬の個人輸入は、インターネットで「個人輸入代行サービス」を使う方法が一般的です。個人輸入代行サービスは、楽天やAmazonといった通販サイトと全く同じ手順で簡単に個人輸入ができるサービスです。
個人輸入代行サービスのメリットはなんと言っても、プロペシアやザガーロ(海外での名前はアボダート)、ミノキシジルといったAGA治療薬を安価で手軽に購入できる点です。
病院での投薬治療に比べると、通院する手間がいらず、スマホから手軽に治療薬を購入できます。
また、個人輸入代行サービスではインド製の非常に安価なジェネリックがあり、これらを使えば大幅に治療費を安く済ませられます。
個人輸入のデメリットとして、薬の購入および使用において全て自己責任となります。薬の個人輸入は偽物や粗悪品などのリスクもあり、厚労省や製薬会社も注意を呼びかけています。
ただし、これはあくまで悪質な輸入代行業者に引っかかった場合の話です。危険な一面だけを見ると、薬の個人輸入に対して「違法ではないか」という疑問も出てきますが、そのようなことはありません。
少なくとも厚労省で定められた範囲内であれば薬の個人輸入は「合法」であり、特別な許可もいりません。
まとめ
若ハゲの治療は、薬局で販売されているリアップ等のミノキシジル外用薬を使用するのが最も簡単な手段です。ミノキシジルは他の育毛剤と違って発毛効果のある「医薬品」ですので、クリニックでも処方されています。ミノキシジルは医薬品ですので副作用のリスクもあります。
ミノキシジル外用薬を塗るよりも質の高い治療を行いたい場合には、病院やクリニックで抜け毛を予防する内服薬を処方してもらう手段があります。内服薬とミノキシジルは併用可能ですので、内服薬で抜け毛を予防しつつミノキシジルで発毛を促進することができます。
金銭面で余裕がある場合は、LEDによる光治療、成長因子の注射、そして植毛や増毛といった高額な治療方法もありますが、いきなりこれらを試す前に薬による治療を試す事をおすすめします。
若ハゲの治療は年単位での長期戦となりますので、経済面で無理のないプランをたてて、コストを抑えて継続していける治療法を選びましょう。