若ハゲはAGA(男性型脱毛症)が早い段階で発症した状態ですので、治療薬はAGAと同じです。すなわちプロペシアやミノキシジル等のAGA治療薬が若ハゲ治療にも有効という事です。AGA治療は広告で多く見かけるので、薬の名前は何となく分かるけど、どういう薬なの?という方も多いのではないでしょうか。ミノキシジルは薬局でも買えますが、プロペシアは何故薬局で売っていないのでしょうか?
実のところ、プロペシアはそれなりにリスクもあるので、安易に薬局で販売できない処方薬となります。薬を使ったAGA治療は、長期にわたって薬を使い続けますので、お医者さんがリスクをしっかりと説明して患者が理解・承認した上で、初めて薬が処方されます。
薬でAGA治療をする前に、まずは薬のことをしっかり把握しておくことが大切です。
若ハゲの薬(AGA治療薬)は2種類

若ハゲの治療に使われるAGA治療薬には、抜け毛を予防する薬と発毛を促進する薬の2種類に分かれます。抜け毛を予防する薬は男性ホルモンを抑え込む作用があり、発毛を促進する薬は血管を広げる作用があります。それぞれ副作用も異なってきますので、使用にあたっては必ず確認しておきましょう。
男性ホルモンを抑える薬(5αリダクターゼ阻害薬)
抜け毛や薄毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが作られるのを防ぐ薬です。
DHTは男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素の働きによって、より強力に変化したものです。この5αリダクターゼの働きをブロックする作用によって、DHTの生産を防ぐのがプロペシアやザガーロといった5αリダクターゼ阻害薬です。
ヘアサイクルとDHTの関係
出典:髪の基礎知識 vol.2「ヘアサイクル」|デミ コスメティクス
そもそも髪の毛は一生のうちで数回生え変わり、伸びては抜け落ちていきます。この一連の流れはヘアサイクルと呼ばれ、髪の毛の寿命とも言えます。
ヘアサイクルは成長期、退行期、休止期の3段階に分かれ、大部分は成長期となります。健全な髪の毛は2~6年ほど成長期が続いた後、成長が徐々に止まっていく退行期に差し掛かり、やがて完全に成長が止まる休止期を迎えた後に抜け落ちます。
出典:薄毛治療の基礎知識|女性のための薄毛治療専門クリニック TOMクリニック
DHTは毛根から入り込み、中心部で髪の司令塔として重要な役割を果たす毛乳頭に悪さをします。それまで髪に成長の指令を出していた毛乳頭は、DHTによって指令が邪魔されてしまい、毛根を形成する毛乳頭細胞の分裂が十分に行われなくなります。髪の成長は細胞分裂によって押し出される形で伸びていくので、細胞分裂が行われなくなると成長も止まってしまうのです。
出典:髪の毛ってなに?(髪の毛の構造)|抜け毛、薄毛(うす毛)対策【AGA-news】|MSD株式会社
若ハゲなどのAGAになるとヘアサイクルの成長期は数ヶ月ていどまで短くなり、ろくに成長できなくなった髪は細くてポヨポヨの軟毛となります。軟毛が増えれば頭髪のボリューム薄くなり、すぐに抜け落ちてしまうので抜け毛も増えます。
5αリダクターゼ阻害薬はDHTを減少させることで、短縮したヘアサイクルを正常化して成長を取り戻す働きがあります。
発毛を促す薬(発毛剤、血管拡張薬)
出典:強く、太く、発毛。「リアップX5プラス ネオ」| 大正製薬
頭皮の血管を広げて血流を促進し、髪の毛に必要な酸素や栄養を行き渡らせるのが発毛剤です。現在のところ、発毛剤として認可されている薬はミノキシジルのみです。
ミノキシジルが発毛を促進する作用は、実のところ詳しく分かっていません。有力な説として血管の筋肉を緩める作用による血流促進、髪の成長をうながすタンパク質(成長因子)を増やす作用、毛根の細胞の寿命を伸ばす作用などがあるとされています。
ミノキシジルの効果は、毛根に対して奥深く作用して育毛を促進することから「ディープグロース効果」とも呼ばれています。
フィナステリド(プロペシア、フィンペシア等)
出典:プロペシア®錠0.2mg・1mg|医薬品情報|MSD Connect
フィナステリドは、世界で初めて内服タイプのAGA治療薬として認可された「飲む育毛剤」です。
最初は前立腺肥大症の治療薬のプロスカー(日本では未認可)が販売されていましたが、服用した患者に育毛効果が見られたため、新たにAGA治療薬としてプロペシアが販売されました。
フィナステリドは毛乳頭に多く存在する「2型5αリダクターゼ」に対して抑制作用があり、DHTの生産を防ぎます。
フィナステリドの薄毛改善効果は、日本でプロペシアの開発時に行われた臨床試験で実証されています。
AGA患者を対象として行われた臨床試験では、プロペシアと同量のフィナステリドが被験者に投与され、3年にわたって効果測定が行われました。
出典:プロペシア®錠 臨床成績<国内データ (3年)>|MSD Connect
試験の結果、被験者のうち98%において、AGAの進行が3年間ストップしました。
さらに服用開始から1年後には被験者の58%において軽度~著明な改善が見られ、2年後には68%、3年後には78%にまで改善した被験者の割合が増加しました。
フィナステリドの効果を実感するには、早くても4ヶ月、一般的には6ヶ月は継続服用する必要があります。効果が出てからも、服用を続けなければ効き目が維持されずに再び薄毛が悪化します。
日本ではプロペシアおよびジェネリック(後発医薬品)として各社からフィナステリドが販売されており、病院やクリニックで処方してもらうことができます。
この他にも個人輸入によって購入できる人気のジェネリック医薬品として、インド製のフィンペシアがあります。

デュタステリド(ザガーロ、アボダート等)
出典:ザガーロ | GSK グラクソ・スミスクライン株式会社
デュタステリドは、もともと前立腺肥大症の治療薬として日本ではアボルブが認可されていましたが、薄毛治療効果が認められたため、新たにAGA治療薬ザガーロとして販売されました(現在でもアボルブは前立腺肥大症の治療薬として処方されています)。
デュタステリドをAGA治療薬として認可しているのは日本と韓国だけであり、欧米においてデュタステリドは前立腺肥大症治療薬のアボダートのみが販売されています。これらの制品はいずれも同量のデュタステリドを含んでいるので、名前が違うだけで効き目は同じです。
デュタステリドはフィナステリドよりも効き目の範囲が広く、2型5αリダクターゼに加えて毛根付近の皮脂腺にある1型5αリダクターゼにも抑制作用があります。
若ハゲなどのAGAは主に2型5αリダクターゼで作られたDHTが影響しているので、フィナステリドでも治療効果はありますが、デュタステリドはさらに強力な効果を発揮します。
デュタステリドの薄毛改善効果は、日本でザガーロの開発時に行われた臨床試験で実証されています。AGA患者を被検者として行われたザガーロの臨床試験では、2つのグループに分けてフィナステリドとの比較検証が行われました。
6ヶ月間にわたる試験の結果、ザガーロを投与したグループの被験者はフィナステリドのグループに比べ、全体の毛髪数・髪の太さ・硬い毛髪の数においてフィナステリドの1.6倍の改善が確認されました。
デュタステリドは1型5αリダクターゼを阻害することで、フィナステリドよりも高い薄毛改善効果があるという事が数字でも証明されました。
デュタステリドの効果は、早い人でも3ヶ月、一般的に6ヶ月は継続して服用しなければ実感できません。服用をやめると効果は出なくなり、再び若ハゲが悪化しますのでご注意下さい。
デュタステリドは値段においてもフィナステリドよりも高額になります。日本国内ではザガーロが病院で処方してもらえますが、プロペシアに比べるとザガーロを取り扱っている医療機関は限られてきます。
ザガーロの他にも、個人輸入では同種同効薬のアボダートや、デュタス等のインド製ジェネリック医薬品が非常に人気です。
ミノキシジル(リアップ、ミノキシジルタブレット等)
出典:発毛剤・育毛剤 「リアップ」シリーズ | 大正製薬
少し前まで、ミノキシジルの外用薬と言えば大正製薬のリアップのみでしたが、ここ最近でスカルプDメディカルミノキ5やミノアップ、リザレックコーワといった他の製薬会社の外用薬が続々と販売されるようになりました。
そもそもミノキシジルは最初、高血圧の治療薬(降圧剤)として開発され、最初に内服薬であるロニテン(日本で未認可)が販売されました。その後、服用した患者に発毛作用が見られたため、副作用を抑えた外用薬に切り替えて新たに発毛剤「ロゲイン」が販売されました。日本でロゲインに続いて外用薬として販売されたのがリアップです。
ミノキシジルは発毛効果が臨床的に証明されている唯一の発毛剤であり、薬局で売っている他の育毛剤とは全く異なる医薬品です。
血管拡張作用によって頭皮の血行を促進し、毛根を活性化させて髪の寿命を伸ばす効果が期待できます。一方で他の育毛剤と違い、塗布した部分のほてりや赤み、かゆみ、フケ、頭痛、めまい、動悸、胸の痛み、手足のむくみといった副作用が出ます。
ミノキシジルは日本で外用薬としてのみ認可されていますが、海外では内服薬としてミノキシジルタブレットも販売されています。
ミノキシジルタブレットは高血圧の薬ですのでAGA治療に使用することは原則として認められていませんが、外用薬よりも優れた発毛効果が期待できます。
個人輸入で購入できるミノキシジルタブレットは非常に人気があり、プロペシアジェネリックのフィンペシアと同様に通販で人気のAGA治療薬です。

まとめ
若ハゲの薬は、一般的なAGA(男性型脱毛症)と同じ治療薬が使われます。若ハゲに効果のあるAGA治療薬は男性ホルモンを抑制する5αリダクターゼ阻害薬、そして血管拡張作用のある発毛剤の2種類があります。
5αリダクターゼ阻害薬は、薄毛や抜け毛を引き起こす悪玉男性ホルモン・DHTを生み出す酵素(5αリダクターゼ)をブロックする働きがあります。
5αリダクターゼ阻害薬はプロペシアやザガーロといった薬が日本で処方されている他、個人輸入で安く購入できるジェネリックとしてフィンペシアやデュタス等があります。
発毛剤として唯一認可されているミノキシジルは、血管の壁にある筋肉を緩めて血管を広げ、毛根への血流を促進して髪の成長に必要な酸素や栄養素を送り込みます。ミノキシジルは毛根を活性化させて髪の寿命を伸ばす効果も期待できます。
ミノキシジルは薬局でリアップやメディカルミノキ5等の外用薬を購入できる他、個人輸入ではより強力な発毛効果のある内服薬・ミノキシジルタブレットを購入できます。
AGA治療薬は病院やクリニックで処方されると治療費がどうしても高額になってしまいがちですので、治療費を抑えて無理なく継続する手段として個人輸入が有効です。